このページの先頭です

アンタゴニスト法って何?どんな人が受けられるの?

525views

投稿日:

アンタゴニスト法について

不妊治療に使われる薬は、どれもこれもなじみのないものばかり。しかも、排卵誘発になると、いくつもの薬品があり、内服薬・点鼻薬・注射とタイプもいろいろなので、最初は何がなんだか分からないという方も少なくありません。

例えば、ドクターに“アゴニストで行きましょう!”とか、“今回はアンタゴニストで・・・!”と言われても、“何、それ?”となりそうです。

特に『アンタゴニスト』は、国内で正式に使用されるようになってまだ数年という新しい排卵抑制剤です。知らなくても当たり前。

でも、知っていれば、医師の口からその言葉が出た時に、すぐに理解出来ます。また、不安があれば突っ込んで質問出来ますし、もし、医師が勧めなくても、自分から希望する事も出来るでしょう。

そこで今回は、最新の調節卵巣刺激法とも言われるアンタゴニストを使った『アンタゴニスト法』についてご紹介したいと思います。

『アンタゴニスト法』とは?

『アンタゴニスト法』とは、主に体外受精に向けて行われる排卵調整法の一つです。

体外受精や顕微授精になると、男性の精子だけでなく、女性の卵子も採取する必要がある訳ですが、成功率を上げるためには、何個の卵を取り出せるかが重要になるでしょう。そこで、卵胞刺激ホルモン剤であるFSHやHMGと呼ばれる薬を使い、複数の卵胞を発育させます。

ところが、そうなると、今度はみんながみんな、同じ日に成熟し、排卵するとは限らない。気の早い卵胞もいれば、のんびり屋さんの卵胞もいて、最も多くの卵子を採取出来る日が定まらないという新たな問題が出て来ます。

そこで、最終的には排卵誘発剤と排卵抑制剤を巧みに使って調節する必要があるのです。この排卵抑制剤の一つが『アンタゴニスト』という製剤で、“アンダゴニスト”と呼ばれる事もあります。そして、これを使った「調節卵巣刺激法」が『アンタゴニスト法』、もしくは「アンダゴニスト法」です。

アゴニストとアンタゴニストの違い

不妊治療に用いられるアンタゴニストは、正式には『GnRHアンタゴニスト』と呼ばれる製剤です。「GnRH」とは、英語のGonadotropin releasing hormoneの略で、日本語にすると「性腺刺激ホルモン放出ホルモン」となります。

GnRHはその名の通り、脳の下垂体に作用して、排卵を促すLHこと「黄体形成ホルモン」と、FSHこと「卵胞刺激ホルモン」という2つの性腺刺激ホルモンを分泌させます。これにより、卵胞が刺激され、発育し、排卵する訳です。

このGnRHというホルモンによく似た構造と性質を持つ成分で作られた製剤が「GnRH製剤」。「アゴニスト」と「アンタゴニスト」と呼ばれる2種類があり、特にアゴニストの方は、不妊治療や子宮筋腫などの婦人科系疾患の治療で頻繁に用いられます。

というのも、アゴニストというのは元々“作動薬”という意味で、GnRHアゴニストはGNRHに結合し、部分的に活動を押さえつける薬だからです。つまり、これを投与する事により、GNRHの働きが衰え、黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制出来る事になります。

それに対し、アンタゴニストは元々“拮抗薬”という意味を持つ薬で、GNRHの分泌をシャットアウトします。当然、排卵誘発を促す作用を持つホルモンは抑制され、早期の排卵を抑えられるという訳です。

何となく名前もよく似ていて、同じように排卵を抑制するお薬ですが、全く正反対の作用を持ち、全く正反対の原理で効果を出しています。しかも、アゴニストの方は点鼻薬で、アンタゴニストの方は注射です。

アンタゴニスト法のメリット・デメリット

長年、日本の不妊治療現場では、GNRHアゴニスト製剤を使ったアゴニスト法が用いられて来ました。やはりそこには、効き目が穏やかで使いやすいという事があったのでしょう。

けれど、効き目が穏やかであるがゆえに、生理周期のほぼ始めころから排卵期直前まで点鼻薬で毎日投与し続け、それと平行して卵胞刺激のためのFSH製剤やHMG製剤も投与していかなければなりません。そして、採卵予定日寸前に排卵誘発を促すHCG製剤を投与するため、延々薬づけの日々が余儀なくされます。これでは、せっかく効き目の穏やかな薬を使っていても、安心安全とは言えないでしょう。

事実、散々卵巣を刺激しながらも排卵を抑制し、最後には強い薬で排卵誘発するという事で、採卵時には卵巣は疲弊状態。にも拘わらず、針で突き刺して中の卵を取り出す訳ですから溜まったものではありません。

結果、卵巣過剰刺激症候群を発症するというリスクが高いのです。そのため、その直後の受精卵の移植は肉体的負担が大きく、失敗するリスクも高まります。

それに対し、アンタゴニスト法の場合、排卵期に入るまではFSHやHMGの投与のみ。GNRHアンタゴニストは即効性が高く、排卵期直前に数回打つだけで排卵調節が可能なため、肉体的負担を軽減出来ます。しかも、採卵寸前には、強く卵胞を刺激して排卵を促すのではなく、先のアゴニスト法を活用した排卵誘発が出来るという大きな利点を持っているのです。

ようするに、作動薬でGNRHの力を強め、身体の意思で黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモンを分泌させ、卵巣を刺激し、排卵させられるという訳です。これだと、かなり自然体に近い排卵で、卵巣の疲弊が免れます。

そこで、すでに卵巣の状態が思わしくない多嚢胞性卵巣症候群を抱えている人や過去の採卵で卵巣刺激症候群を発症した記録の残る人などには適した策と言えるでしょう。また、低卵巣刺激法や自然排卵を希望する人にも用いる事が出来るのです。

ただし、まだまだ高価な薬剤で、元々自己診療である体外受精の経済的負担をさらに大きくするというデメリットを持ち合わせています。加えて、取扱いのない医療機関もありますので、アンタゴニスト法を検討したい、希望したいと思われる方は、自分から医師に相談されてもいいでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です