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ベビ待ちの切り札~不妊治療のオギノ式ってどんな方法?

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ベビ待ちの切り札~不妊治療のオギノ式ってどんな方法?

日本には昔から「オギノ式」と呼ばれる避妊術があります。まあもっとも、避妊術と言っても、実に原始的な方法で、文明社会となった今では当たるも八卦、当たらぬも八卦。正しく占いみたいなものです。

実際問題、100%信頼出来る避妊術というのはないと思っておくべきでしょう。ただ、そんな中、9割方大丈夫だろうと見られるのがコンドームの着用です。

恐らく、コンドームが破れていたために出来た赤ちゃんがいれば、その子は神の子、特別な意味を持って生まれようとしている命です。迷わず産み、大切に育てなければいけません。

しかし、オギノ式はノーベル賞候補にも上った素晴らしい発見で、この方式から生まれた赤ちゃんもまた、大ハズレではなく、大当たりだと言えます。何故なら、オギノ式は元々ベビ待ちの切り札として考え出された不妊治療の一環だったからです。

「オギノ式」とは?

「オギノ式」とは、女性の生理周期を目安とした排卵日計算法で、排卵日が分かれば妊娠しやすい日が分かる。正しく今のタイミング法の原点となる考え方です。

多くの女性が何気なく受け入れている生理、「月経」ですが、それは排卵があった事を察した身体が、受精卵を守るために作った子宮内膜がはがれるもので、排卵がなければ生理は来ません。更年期を過ぎ、女性が閉経を迎えるのは、卵子がなくなり、排卵しなくなるからに他ならないのです。

そこで、取り敢えず生理がある事は、排卵している事の一つの目安となると言えるでしょう。そして、その生理は、排卵日から約2週間、14日目に始まる確率が非常に高い事が研究から明らかになりました。さらに、卵子の寿命は約3日、精子の寿命が約1日という事も判明したお陰で、排卵日の前後2日くらいの間に性交渉すれば妊娠する事になるという法則が出来上がった訳です。

つまり、生理周期が28日の人なら、28-14=14で、前回の生理開始日から14日目が排卵日。生理周期が30日の人なら、30-14=16で、前回の生理開始日から16日目が排卵日です。よって、その前日から翌日あたりに性交渉すれば、妊娠出来るという事になります。

「オギノ式」の荻野さん

「オギノ式」という計算法は、その名の通り、荻野久作(おぎのきゅうさく)先生という婦人科医が考えたものです。そのため、正式には「荻野式計算式」と言います。

この荻野先生、1882年(明示15年)の春に今の愛知県豊橋市に生まれ、長閑な農村で幼少期を過ごしましたが、中学から東京に出て猛勉強。1902年(明示42年)に帝国大学医学部を卒業すると、1975年(昭和50年)1月1日に93歳でこの世を去るまで、その一生を沢山の親子のために捧げました。

ただし、先生の主な活躍の舞台は、花の東京でも、生まれ故郷の愛知県でもなく、新潟県。1912年(大正元年)に新潟市の竹山病院産婦人科部長に就任して以来、70年近く地元密着型の医師として活躍し続けたのです。そのため、今でも荻野邸の前の市道は「荻野通り」と呼ばれています。

「オギノ式計算法」の誕生

よく、人が時代を作るのではなく、時代が人を作るのだと言われますが、正しくオギノ式計算法は、荻野先生が赴任した新潟という地と、大正から昭和初期という時代が産み出した研究だと言えるでしょう。

日清戦争から日露戦争で好成績を収めた日本は、当時、アジア一の軍事大国でした。そして、やがて太平洋戦争へと発展して行く訳ですが、そうなると、地方都市の旧家からも、大事な跡取りを兵隊に取られ、家が途絶えてしまうという危惧が持たれるようになったのです。

そうなると、家を守るためには再び赤ちゃんを産んで育てる事が必要不可欠になります。ところが、お嫁さんの高齢化が進んでいる旧家では、中々思うようには行きません。

そこで荻野医師は、満を持して当時は神秘の世界とも言われていた女性の生理周期を研究。排卵は月に一度のペースで定期的に、女性の基礎体温が低温期から高温期に切り替わる時起こり、それに伴って月経が生じている事を解明したのです。

そして、1924年(大正13年)、「排卵の時期、黄体と子宮粘膜の周期的変化との関係、子宮粘膜の周期的変化の周期及び受胎胎日について」という論文を「日本婦人科学会雑誌」に発表しました。もちろん、これまで誰もがなし得なかった快挙で、この論文は見事翌年、懸賞論文に輝いたのです。

しかし、神秘の世界を解明する事は、当時の日本ではタブーに近く、特に妊娠という神業に迫る事自体、よしとはされない部分があったものと思われます。国内では、荻野氏を支持する声より、反論する声の方が多かったようです。

ただ、海外が認めれば日本も同調する、これは今も昔も同じと見え、1930年(昭和5年)2ドイツの学会誌「婦人科中央雑誌」に掲載されると、日本でも急激に注目され、支持を集めるようになったのです。

オギノ式は不妊術or避妊術?

かの有名な「オギノ式計算法」が、大正時代に作られたものである事など、今では想像も付かない人の方が多いのではないでしょうか? ただ、排卵すれば、その約2週間後に生理が来るという事は、多くの人が認識しています。そして、その知識を使って性交渉のタイミングを計る人も少なくありませんが、その使われ方はいささか問題です。

そう、今ではオギノ式計算法は、避妊術として認識されていて、「オギノ式避妊法」などとも呼ばれているくらいなのです。しかも、この認識による知名度の拡大は、荻野先生が世界で認められた直後から始まりました。何故なら、オーストリアのヘルマン・クナウス博士が、逆転の発想から避妊術として提唱したからです。

もちろん、荻野先生にとっては不本意極まりない話でしたが、頭ごなしに否定する事も出来ず、結果的には「オギノ式避妊法」として広まってしまいました。というのも、実は彼がこの研究を始めたきっかけの一つとして、先の旧家の跡取りを作るためというのとは別に、農家などの貧乏人の子宝を防止する目的もなくはなかったからです。

こうしてオギノ式計算法は、妊娠の確率も上げられるが、避妊の確率も上げられる画期的な方式として、ノーベル賞候補にまで上り詰めました。ただし、実際には女性の生理周期はとてもデリケートなものですから、非確実極まりない策という部分は否めません。

そこで、今ではあくまでも一つの目安とし、基礎体温重視で排卵日を定める事が推奨されています。とは言え、こうした原始的な方法が、意外とベビ待ちの切り札になる事も多く、自力で出来る不妊対策の一つとして、最初に試してみられるのは大いにありでしょう。

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