このページの先頭です

多嚢胞性卵巣症候群って?症状や妊娠への治療方法

391views

投稿日:

多嚢胞性卵巣症候群って?症状や妊娠への治療方法

肥満・糖尿・心疾患と言うと、現代社会を代表する生活習慣病です。中高年を中心に、確実に患者数が増加している訳ですが、その若年化は否めないと見られます。

しかも、そうした成人病が不妊の要因の一つになっていると言われて来ました。ところが今、不妊症がこうした成人病の引き金になる事もあるというのが明らかになったのです。

その不妊症とは『多嚢胞性卵巣症候群』。目下20代後半から30代にかけての女性に流行している排卵障害の一種です。

昨今では、女優の釈由美子さんがカミングアウトした事で話題となり、ようやく知名度を上げて来たと言えるでしょう。とは言え、まだまだ知られざる部分の多い疾患です。

『多嚢胞性卵巣症候群』とは?

女性の体内では、生理が始まると同時に、次の排卵に向けての準備が始まります。それが卵子の培養です。

とは言っても、卵子は卵胞という組織の種のようなものなので、卵胞そのものを育て、中身の卵子を成熟させなければなりません。卵巣の中に広がる卵胞畑のどれもが良質な卵子を持っていればいいですが、中には空胞(くうほう)と呼ばれる空っぽの卵胞もあるため、確実な排卵を狙うには、複数の卵胞を育てる必要があります。

そこで、毎回数十個の卵胞をチョイスし、肥料となる卵胞ホルモン「エストロゲン」をせっせ事与えて育て始めます。これが生理開始日から生理が終わる頃までの卵巣の光景です。

ただ、日当たりならぬエストロゲン当たりのいいところにいる卵胞はすくすく育ちますが、少しでもハズレた場所にいる卵胞は徐々に衰退し、消滅してしまいます。何だか可愛そうに思えますが、実際の排卵に必要な卵子は1つです。逆に言えば、その1つが立派に育ってくれる事が大事で、最終的には、全てのライバルを蹴落とし、エストロゲンを独り占めして成熟する訳です。

そしてそして、いざ排卵となる訳ですが、元々エストロゲンの量が少ないと、どんなに優良な場所にいた卵胞でも完全に成熟しません。すると、排卵出来ないまま、卵胞畑に放置されてしまいます。

実は、この排卵直前で力尽きてしまった卵胞が大量に放置された状態、それが『多嚢胞性卵巣症候群』で、正に読んで字のごとく。卵巣内の卵胞畑には、未成熟な卵子を包み込んだまま死滅した卵胞が溢れ返っているのです。放っておくと益々環境悪化し、深刻な事態に陥る事も珍しくありません。

実際、多嚢胞性卵巣症候群は、英語のpolycystic ovary syndrome」を略して、“PCO”や“PCOS”と呼ばれる事もありますが、あくまでもsyndrome「症候群」です。病気ではないと言う人も少なくありませんが、その一方で、多くの医師は立派な婦人科系疾患であると言い切ります。

なぜなら、卵胞が完熟せず、排卵出来ないという事は、れっきとした「排卵障害」だからです。そして、排卵障害は、不妊を立派な病気であると考え、治療に勤しむ医師や患者にとっては、紛れもない疾病。昨今では、不妊治療を受ける女性の約1割が多嚢胞性卵巣症候群で、排卵障害としては最も多い疾患だと言われています。

多嚢胞性卵巣症候群の原因は?

多嚢胞性卵巣症候群がsyndromeに位置づけられている理由の一つに、未だはっきりとした発症要因や治療法が明確にされていないという事があります。しかし、卵胞が一定期間に完熟まで達しないという事は、肥料となるエストロゲンが不足している事は間違いないと見ていいでしょう。

そこで、性腺刺激ホルモンである「ゴナドトロピン」の分泌に問題があると考えられています。このゴナドトロピンは、“FSH”こと「卵胞刺激ホルモン」と“LH”こと「黄体形成ホルモン」という2つのホルモンをブレンドしたスペシャルホルモンです。

FSHは、その名の通り、卵胞を刺激して、エストロゲンの分泌を活発にします。一方、LHは、周辺環境を整える黄体ホルモン「プロゲステロン」の精製を促すホルモンです。つまり、良質なゴナドトロピンさえあれば、卵胞畑は水も日光も肥料も十分ある状態を作れる訳です。

ところが、このゴナドトロピンの分泌量が不足したり、中身が劣悪だと、水不足、日照不足、肥料不足の畑になってしまい、卵胞は正常に発育する事が出来ません。

特に昨今、問題視されているのが、LHばかりで、FSHの極めて少ないゴナドトロピンが分泌されるケースです。そうなると、日当たりや水はそこそこ得られますから、多くの卵胞がそれなりに生き延びる事は出来るでしょう。

ただ、肥料不足で、どれもこれも完熟出来ないため、排卵にはいたりません。そうして、その場に放置される卵胞が溢れ返るという流れです。

ではでは、なぜ、FSHが不足し、LHばかりが増えるのでしょうか? その答えは簡単で、男性型ホルモンの「アンドロゲン」が上位に立っているからです。

ここで一つ、勘違いしてはいけないのが、アンドロゲンは決して男性ホルモンではなく、あくまでも男性型ホルモンであるという事です。そこで、筋肉や骨格を作ったり、筋力を保ったり、体内エネルギーの増加を担うために、女性の体内でもしっかりと分泌されています。

ただし、その量は男性の10分の1程度もあれば十分。何しろ、強靱なホルモンですから、それを超えると、女性ホルモンより優位に立ち、男勝りの身体を作ってしまうのです。

その典型的例の一つがアンバランスなゴナドトロピンの精製です。女性ホルモンが上位ならFSH豊富なゴナドトロピンが作られるのですが、アンドロゲンが上位になると、自分たちと同じ肉体派であるLH豊富なゴナドトロピンを作ってしまうという訳です。

そして近年、様々な研究がされた結果、どうやらアンドロゲンが増加する要因の一つに、血中のインスリン濃度の上昇があるという事が分かって来ました。それにより、内分泌異常が引き起こされ、アンドロゲンが過剰生成されるというのです。

という事は、過度の肥満やストレスが多嚢胞性卵巣症候群の引き金になる可能性は十分考えられます。実際、多嚢胞性卵巣症候群と診断される女性の中には、肥満傾向にある人は少なくなく、糖尿病患者も大勢いると言います。さらに、今は血糖値が正常でも、後に肥満や糖尿病患者となる人の割合は40%にも達し、さらに、そこから心血管疾患を発症する人も珍しくないのです。

こうした事を考えると、血中のインスリン濃度とPCOSの関係を甘く見るのは危険です。特に、無事に着床成立となっても、肥満や糖尿病を抱えたままの妊娠・出産はリスクが大きく、出来れば不妊治療中に改善しておく事が大切になります。

多嚢胞性卵巣症候群になっても妊娠は十分可能です

多嚢胞性卵巣症候群は、明確な治療法がないところから症候群に位置づけられている訳ですが、それでも、ホルモンバランスを整え、生理周期を安定させる事で悪化は防げます。そこで、早期に妊娠を希望しないのであれば、まずは経口ピルなどを使い、排卵を促すところから治療を始め、現状維持のまま排卵出来る状態に持ち込むのが賢明でしょう。

今では内視鏡を使った外科的手術も行われていますが、逆に卵巣を傷つけ、不妊のリスクが高まるところから、日本ではあまり推奨されていません。どうしても早期妊娠を希望する場合には、排卵誘発剤を使用する方法が一般的です。

しかし、その排卵誘発剤を使った方法も、早期発見やある程度改善しているかどうかで成功率は大きく変わります。軽傷なら、低刺激の排卵誘発剤でも妊娠する事は珍しくありませんが、重傷になると、高刺激でも厳しい状態になるのです。
という事で、多嚢胞性卵巣症候群は、早期発見、早期治療が絶対条件。婦人科で血液検査をすれば、ほぼ100%判明します。定期的に子宮ガンや乳がんなどの婦人科検診を受けている人なら、比較的早期に発見する事が出来るでしょう。

事実、女優の釈由美子さんも、独身時代の婦人科検診で発覚したと言います。しかし、20代・30代の女性の中で、定期的に婦人科検診を受けている人がどのくらいいるかが問題で、やはり不妊治療を始めて、初めて明らかになる人が圧倒的多数です。

ただ、その自覚症状が乏しいのかと言うと、全く層ではありません。むしろ、生理不順という形で明らかに現れます。当然ですが、排卵していない訳ですから、生理があっても無排卵月経。過少月経や希発性月経という形で、すでに無月経状態にある人も多いものと思われます。

気になる人は、2ヶ月から3ヶ月、基礎体温を測れば一目瞭然。低温期と高温期の区別が付かない事でしょう。

特に若い女性に多いのが、過度のダイエットやストレスによるホルモンバランスの乱れで、釈由美子さんなどは、その典型的例です。そう、肥満も多嚢胞性卵巣症候群を招きますが、だからと言って、短期間に無理矢理痩せるのも危険なのです。

実際問題、ダイエットが過ぎ、生理不順になる人は少なくありません。その生理不順の積み重ねが多嚢胞性卵巣症候群になるという訳です。

また、男性型ホルモンのアンドロゲンが上位にあるため、毛深くなったり、顔つきがゴツゴツして来るなどの外見的変化が現れる人もいて、いくらでも自身で疑う事は可能なのです。ただ、その疑った時に、すぐに対処するかどうかが、素敵なママになれるかどうかを決めると言えます。

少なくとも、すでにこうした症状が出ている人は、バランスのいい食事と良質な睡眠、そして、適度な運動を取り入れ、体を冷やさないように十分気を付ける事で、応急措置しておく事が大切です。そして、その間に基礎体温を付け、様子を見ながら、生理不順が改善されなければ、早期に婦人科を受診し、医師の治療を受けるようにしましょう。

実は、釈由美子さんの場合、そうした努力の結果、結婚前にはすでに生理周期の安定にまではこぎ着けていたと言います。ただ、それでも、まだ無排卵月経であるという事には変わりがなく、不妊治療の末にママとなったのです。

けれど、彼女のように、生理周期さえ安定していれば、比較的容易に排卵誘発剤を使って排卵を起こす事が出来ます。さらに、卵巣は左右2つあり、どちらか一方がまだ正常な状態なら、不妊治療しなくても自然妊娠出来る確率は低くありません。釈由美子さんの場合は、排卵誘発剤のクロミッドを使用して僅か2ヶ月で妊娠成立となったそうですから、こうした早期発見や努力が功を奏したのでしょう。

という事で、多嚢胞性卵巣症候群だからと言って、妊娠出来ないという事はありません。しかし、改善しなければ、非常に妊娠困難な状態である事は確かです。さらに、重傷の場合は、不妊だけでなく、成人病のリスクも高まるという事を知っておいてもらえればと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です