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掻爬手術とは~その必要性や方法・費用や保険適用に関して解説

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掻爬手術とは~その必要性や方法・費用や保険適用に関して解説




ここでは、自然流産の処理として最もオーソドックスな「掻爬手術」についてご説明したいと思います。流産そのものがベビ待ちさんたちにとっては辛く悲しいものですが、掻爬手術は、その苦悩にさらに輪を掛ける治療であると言っていいでしょう。

けれど、掻爬手術を受ける事は、新たな命の誕生を目指して歩き出す大事な大事な一歩です。乗り越えない限り、コウノトリが再び訪れる事はありません。

しかし、その一方で、流産したから必ずしも必要になる治療ではなく、さらに、掻爬手術イコール流産手術という訳でもないのです。やはり掻爬手術については、正しい知識と理解を持って、前向きに望んでいただきたい、そんな願いをこめて、今回は一生懸命書かせていただきます。

そもそも『掻爬手術』とは? 必ずしも流産だけが治療対象ではありません』

『掻爬手術』というのは、開腹手術や内視鏡手術といったような手術方法の一つです。子宮内部の異物を取り出す「子宮内容除去術」の一種で、流産の手術という訳ではありません。

子宮内容除去術には、掻爬手術のほか、電動式の真空吸引ポンプを用いた「吸引法」があり、世界的に流産後の処理手術と言えば、掻爬ではなく吸引だと言われています。なぜなら、患者の安全性と肉体的負担の軽さから、“WHO”こと「世界保健機構」でも、吸引法の方を推奨しているからです。ただ、日本では、設備の関係などから、まだまだ伝統的手法とも言える掻爬手術が主流だと言わざるを得ません。

そもそも「掻爬」とは、鋭い匙状の危惧で組織を破壊し、掻き出して除去する事を言います。掻爬の「爬」というのは、“引っかく”という意味で、掻爬とは引っかいて掻き出す、正に読んで字のごとくです。

実際、掻爬手術は、「キュレット」と呼ばれる耳掻きのような先端が鋭い鈎状の危惧を使って、子宮の内容物を全て掻き出し、完了となります。ただし、その内容物は、必ずしも胎児や胎盤、そして、“ぶどうっ子”と呼ばれる「胞状奇胎」など、赤ちゃんに纏わるものばかりとは限っていません。婦人科検診で子宮内膜にポリープが見付かった場合や子宮内膜が分厚すぎる事が判明した場合にも使用されます。

もちろん、妊娠すれば子宮内には子宮内膜が張られている訳ですから、基本的に掻爬手術イコール、子宮内膜を掻き出す手術であると捉えていいでしょう。一度妊娠が成立した場合には、そこに胎児や胎盤が付帯して来るという事です。

さらに、その胎児も、必ずしも死亡しているとは限っていません。悲しい事に、生きて必死に成長しようとしている赤ちゃんが掻き出される事もよくあります。それが「人工中絶手術」です。

しかも、掻爬手術イコール中絶手術ととらえる人も日本には多く、特に生命保険の給付金を請求する場合、はっきりと「子宮内容除去術」と診断名が書かれていなければNGになってしまいます。もちろん、正しい知識と技術を持ったドクターは、最初から子宮内容除去術の診断書を出してくれますが、中には未だ掻爬手術と記入する先生もいるので要注意。事前の説明で、きちんと子宮内容除去術と表現されない場合には、自ら訂正する事が大切です。



流産と『掻爬手術』の関係は? 必ず受けなければならない手術ではありません

男性はもちろん、妊娠や出産未経験で、まだまだこれから勉強しなければという女性の多くは、流産イコール、胎児が体外に流れ出るものと思っておられるのではないでしょうか? けれど、必ずしもそうとは限っていません。

そもそも「流産」とは、妊娠22週目、つまり、5ヶ月目までくらいに胎児が母体の中で死亡し、妊娠中止となってしまう事を言います。多くの人が想像する流産は、子宮口が開き、自然に胎児が流れ出す「進行流産」かと思われますが、実際には、死体となってしまった胎児が、そのまま子宮内にとどまっている事はしばしばです。

このように、子宮内で胎児の心拍が停止してしまう状態を「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」と呼び、全ての流産は、ここから始まると言っていいでしょう。ただし、その後に、進行流産となり、体外へ流れ出す事になるか、そのまま稽留流産が継続されるかによって措置方法が大きく変わって来ます。

さらに、進行流産でも、胎児だけでなく、胎盤から子宮内膜まで、子宮内の内容物全てが流れ出る場合と、一部しか自然に流れ出せず、子宮内に残存物が滞留している場合とがあります。前者を「完全流産」、後者を「不全流産」という訳ですが、後者の場合は、そのまま放置しておく訳にはいきません。

子宮内に胎盤や体毛が残っていると、脳は未だに胎児を育てているものと勘違いし、そのために必要なホルモン分泌を継続します。その間、ずっと新たな排卵が抑制される訳で、稽留流産なら尚更の事です。

そこで、子宮の内容物を取り出す措置が必要になる訳で、その際に使われるのが『掻爬手術』です。つまり、掻爬手術が必要な流産は「不全流産」と「稽留流産」だけで、完全流産には不必要という事になります。

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『掻爬手術』の流れと費用、保険が使えるってホント?

『掻爬手術』そのものは、僅か15分前後の施術で、麻酔などの準備を入れても、手術室にいる時間は1時間足らずといったところでしょう。どちらかと言うと、術前術後の方が大変です。

特に初めての妊娠だった場合には、子宮頸管を広げ、流道を作らなければなりません。そこで、「ラミセル」と呼ばれるスポンジ状の細い棒を膣から子宮口に押し込み、2時間ほど安静にします。

このラミセルは、時間の経過とともに徐々に膨張するもので、それによって、子宮頸管が広がるという訳です。通常、経産婦でも、出産経験が1度しかない場合や前回の出産から長期間たっている場合には、この段階から始めます。

その後、手術室に移動し、全身麻酔を効かせた後に、いよいよ手術開始です。最初に「鉗子」とよばれる金属製のトングのようなもので大きな内容物を挟んでは出し、挟んでは出しを繰り返した後、仕上げとして、キュレットを使って細かな内容物を掻き出し、子宮内を空っぽにします。

術後しばらくは、かなりの出血があり、麻酔の影響も加わって、1泊2日の入院が必要になる事もありますが、たいていは日帰り手術になるでしょう。とは言え、術後は無理したくても出来ないというのが実際だろうと思われます。

ですが、経済的負担は、それほど大きくないので安心です。費用は平均2万円から3万円ですが、掻爬手術は母胎の命を救うための立派な治療なので、健康保険が適用されます。

さらに、病気治療という事で、日帰り手術や入院1泊目から給付金が出る契約の医療保険に加入している場合、保険金が下りるケースもしばしばです。ただし、それに関しては、先のように、「掻爬手術」ではなく、「子宮内容物除去術」と明記されていないといけませんので、くれぐれも気を付けましょう。

実際問題、掻爬手術は、新たな妊娠成功に向けての第一歩だと言われますが、その一方で、不妊の要因ともなりかねない施術です。鋭い先端を持つ危惧で処理する訳ですから、もし、子宮内が傷つけば、今後の妊娠に悪影響を与える事は大いに有り得ます。

厳しい現実ですが、子宮内膜に傷が付くと、胎盤などの組織がそこに癒着しやすくなってしまうのです。流産や人工中絶の後、子供が産めない体になってしまう女性が後を絶たないのはそのためです。

そこで、掻爬手術を受けるにあたっては、執刀医の知識と経験、そして、腕前が重要になります。事前の説明できちんと子宮内容物除去術という表現を使われるかどうか、それでドクターの力量を判断するのも一つの手かも知れませんね。




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