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甲状腺機能低下症とは~その症状や原因・妊娠への影響や予防対策

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甲状腺機能低下症とは~その症状や原因・妊娠への影響や予防対策

特に若いうちは、少々体調不良でも体力で乗り切れたりもしますし、逆に、ある程度の年齢になれば、身体機能の衰えは自然の原理と考えがちです。そこで、いざ、不妊治療を始める事になり、精密検査をしたところ、思わぬ病気が見付かるという事はよくあります。

中でも、やはり不妊の大きな要因となるホルモンバランスの乱れ、これを招く内分泌疾患などは、自覚症状がありそうでないものが少なくありません。そのため、医師に告げられて、驚くだけでなく、目の前が真っ暗になる人が圧倒的多数です。

ですが、その多くは、落ち着いて治療すれば改善されるもので、100%不妊ではないのです。取り分け、甲状腺機能異常である「甲状腺機能低下症」や「甲状腺機能亢進症」などは、その代表格だと言えるでしょう。

甲状腺の病気と聞くと、難病指定を受けているものもあって、恐ろしい重傷のように受け止められがちですが、実際には、治療しながらベビ待ちし、待望のママになっている人は大勢います。大事な事は、早期発見、早期治療、そして、諦めない事です。

「甲状腺」て何だろう? 甲状腺の働きと甲状腺機能異常とは?

「甲状腺」の病気イコール婦人病というイメージが強いですが、そもそも甲状腺は、喉の前側にある臓器で、人間なら誰もが持っているもの。約4.5×4.0cmの縦長で、重さは約20g。蝶が羽を広げたような形で配置されています。
胃や食道といった消化器官とも、気管や肺といった呼吸器官とも繋がりのない単独の部位ですが、実は私たち人間が消化や呼吸を円滑に進められるのは、何を隠そう、甲状腺のお陰。ここから分泌される「甲状腺ホルモン」により、全ての細胞は新陳代謝を活性化し、生命維持しているのです。

そのため、この甲状腺ホルモンの分泌が衰えると、たちまち不具合を来します。それが『甲状腺機能低下症』で、そのパターンによっていくつかの種類がありますが、最も代表的な疾患が「橋本病」です。

ならば、甲状腺ホルモンが活発に分泌されるといいのかと言うと、これがそうではありません。これまた「甲状腺機能亢進症」という立派な病気で、様々な不具合を来します。その代表格が「バセドウ病」です。

こうした甲状腺ホルモンの分泌異常は、甲状腺がある限り発症する可能性があるもので、必ずしも女性の疾患という訳ではありません。とは言え、甲状腺機能亢進症の女性患者数は男性患者数の約4倍、甲状腺機能低下症の女性患者数は男性患者数の約20倍という事で、圧倒的に女性に多い病気であると言い切っていいでしょう。

さらに、甲状腺機能亢進症の発症割合は、30代女性が最も多いと言われています。また、40代以上の女性になると、全体の約5%は軽度の向上せん機能低下症を持っていると見られるのです。

となると、いずれの患者層も、不妊治療を受ける女性の年齢と恐ろしいほどマッチします。つまり、不妊治療を受ける人たちの中には、甲状腺に不具合を持っている人が少なくないという事です。そして、それは、甲状腺機能異常が不妊の要因の一つになっている事を物語ってもいます。

事実、ホルモンバランスの乱れは、典型的不妊の要因です。それが性関連ホルモンでなくても侮れません。それどころか、甲状腺ホルモンが乱れると、全身の細胞活性が弱まりますから、性関連ホルモンの乱れを引き起こし、不妊体質になってしまうのです。

甲状腺機能異常と不妊の関係

一般的に、甲状腺機能低下症の方が、甲状腺機能亢進症よりは不妊になりやすいと言われています。その理由はまず、甲状腺ホルモンは細胞活性を担っている訳ですから、一種の成長ホルモンであり、それが不足すると卵胞の成長に悪影響を与えるからです。

卵胞が発育出来なければ、無排卵となり、月経不順から徐々に無月経へと発展して行きます。完全なる不妊症ロードまっしぐら状態です。

さらに状況が悪化すると、何とか不足する甲状腺ホルモンを補充しようと脳は必死になります。ところが、実は、これが卵巣の機能を急激に衰えさせ、重度の不妊症にしてしまうのです。

このメカニズムは、甲状腺とプロラクチンは連動しているという原理から来るもので、一度でも医学部を受験した経験のある人なら百も承知。定番中の定番と言える入試問題です。でも、まだまだ一般の人には知られていない事なので、簡単に説明します。

甲状腺ホルモンはもちろん、甲状腺で生成され、分泌されるものですが、甲状腺はあくまでも工場であって、その生成量を決めるのは脳にある指令本部「視床下部」です。もし、ホルモン量が足りないと思えば、視床下部は増産命令を“TRH”こと「甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン」によって脳下垂体に伝えます。

この脳下垂体は、視床下部の支社みたいなものですから、本社に言われれば、すぐさま動かなければなりません。そこで下垂体では、“TSH”こと「甲状腺刺激ホルモン」を分泌し、甲状腺に発破をかけます。すると、甲状腺は頑張って甲状腺ホルモンを分泌せねばと思う訳です。

ところが、下垂体の中にはもう一つ、視床下部から分泌されるTRHに敏感に反応し、ただちに分泌を開始するホルモンがあります。それが「プロラクチン」で、これは別名「催乳ホルモン」や「乳汁分泌ホルモン」などと呼ばれる乳腺発達に関与するホルモンです。

元々プロラクチンは、産後に過剰に分泌されるべきホルモンで、それにより、母乳の出をサポートしている訳ですが、それとは別にもう一つ、重大な任務を担っています。それが卵巣機能の低下で、それにより、授乳期間中の妊娠を抑え、新米ママの体を守ってくれているのです。

という事で、赤ちゃんを産むと、多くの女性はしばし、軽度の甲状腺機能低下症に陥ります。産後半年から1年の間、生理不順が続くのはそのためです。

けれど、妊活中にプロラクチンが過剰分泌されると、強制的に排卵を抑制され、不妊となってしまいます。この症状を「高プロラクチン血症」と呼び、甲状腺機能異常が不妊因子となる最大の例です。

ならば、甲状腺機能亢進症なら問題ないのではという気がしますが、甲状腺ホルモンがふんだんに分泌されると卵巣の細胞活性が活発になりすぎるため、これまた問題。卵胞から分泌される「エストロゲン」の量が増えすぎ、生理周期が短くなります。結果、排卵障害を引き起こし、不妊に繋がる可能性は低くありません。

さらに、甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑えるためには、ある程度甲状腺の機能をセーブする必要があります。ところが、そうした治療が進むうち、逆に甲状腺機能低下症となり、本格的な不妊症に移行するケースも少なくないのです。

甲状腺機能異常でもママにはなれます

甲状腺機能異常の原因としては、先天性のものもありますが、やはり多くは後天性だと見ていいでしょう。確かに、生まれつき甲状腺が小さいとか、備わっていないという人もまれにいます。けれど、そういう場合は「クレチン症」という難病を持っている事になり、発達障害や身体障害など、成長段階で様々な不具合を来すため、早期発見が可能でしょう。

ただし、甲状腺機能低下症については、橋本病のように遺伝的要素の強い自己免疫疾患である事も少なくありません。ただ、多くの甲状腺機能異常は、たとえ遺伝性であっても、おとなしく潜伏しているだけで、中々猛威を振るう事はないのです。

そもそも、今まで自覚症状がなかった、あるいは乏しかったという事は、発症していなかったか、日常生活に支障がないレベルであり、特に治療が必要ではなかったと言えるでしょう。しかし、隠し持っていたという事は、加齢や心身の大きな変化により、突如発病したり、症状が悪化しても不思議ではありません。

特に、不妊治療や妊娠のような心身ともにプレッシャーの掛かる事を始めた場合、そのリスクは高まります。甲状腺機能が低下している場合には、細胞の新陳代謝が遅いため、強い疲労や倦怠感に見舞われたり、冷えやむくみが強くなったりします。消化器官の衰えから便秘にもなりがちです。

一方、甲状腺機能が亢進すると、細胞の新陳代謝が活発になるため、常にエネルギーを燃焼させているような症状が出始めます。常に脈が速く、身体がほてり、汗を掻いている事でしょう。また、消化器官が過剰に動くため、下痢になりがちです。

ならば、甲状腺機能異常は治らないのか? また、甲状腺機能異常になるとベビ待ち出来なくなるのかと言うと、決してそうではありません。まず、ここで勘違いしてはいけないのは、国の難病指定を受けている甲状腺機能異常は、先のようなあくまでも先天性のものだけであって、後天性のものは治療可能な疾患であるという事です。

特に、これは驚くべき事なのですが、昆布やワカメといった海草類に豊富に含まれるミネラル「ヨウ素」、“ヨウド”と呼ばれる事もありますが、実はこのミネラルの過剰摂取が一過性の向上せん機能低下症を招きかねないのです。ところが、低カロリーで栄養科が高いと評判の海草類は、とかく、美容のために、健康のためにと言って摂取が勧められがちです。まるで、食べれば食べるほど健康効果が得られるように思われているではありませんか。

けれど、それはとんでもない誤解で、日本人が必要とするヨウ素量は、1日150μg。しかし、現実には、多くの人が、普段の食生活から1000μg以上のヨウ素を摂取していると見られます。

だからと言って、直接悪影響が及ぶわけではありませんが、その上でさらにヨウ素配合のサプリメントなどを服用すると、ちょっと問題でしょう。ですが、妊活サプリの中には、ヨウ素配合のものも少なくないと見られます。

また、過剰なストレスも免疫力や甲状腺ホルモン分泌を乱す可能性が高く、近年では、このストレス性甲状腺機能異常が多発している事も知っておきたいところです。やはり、適度な運動とストレス解消は、不妊治療には必須だと言えそうです。

という事で、妊活を始めるにあたっては、こうした事に気を付け、まずは甲状腺に支障を来さないようにする事。そして、もし、甲状腺機能異常が見付かれば、その治療を優先する事が大切です。

軽度の甲状腺機能異常は、比較的短期間で容易に改善され、不妊脱出も夢ではありません。中には、海草類の摂取をひかえるだけでママになったという人も大勢いるくらい。たとえそこまで簡単なものではなくても、薬物治療で改善出来ます。

そう、甲状腺機能低下症だから、甲状腺機能亢進症だからと言って、ベビ待ち出来ないという訳ではないのです。

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