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稽留流産とは~手術方法や次の妊娠への影響など

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稽留流産とは~手術方法や次の妊娠への影響など

全ての流産は『稽留流産』から始まると言っても過言ではないでしょう。なぜなら、稽留流産とは、心拍の停止した赤ちゃんが胎児として子宮内にいる状態だからです。

稽留流産は、事実上の妊娠終了を意味します。以後、赤ちゃんが発育し、この世に生を受ける事はありません。

でも、それって流産とは言わないんじゃないかと思われるかも知れませんが、元々流産とは、妊娠22週目までの胎児が母体の中で死亡し、出産不可になった状態を示します。従って、全ての流産は稽留流産から始まるのです。

『稽留流産』とは? 全ての流産はここから始まる

急におなかが痛くなって、出血し、病院に駆け込んだ直後、流産となってしまった経験をお持ちの方は少なくないでしょう。しかし、そうなる前に赤ちゃんはすでに死亡しています。その状態が『稽留流産』です。

そして、後に子宮収縮によって子宮頸管が開き、胎児が子宮内膜から剥がされると「進行流産」となり、胎児や胎盤などが流れ出ます。誰もが思い出す辛く悲しい自然流産の瞬間です。

という事で、全ての流産の始まり、それが稽留流産です。ただし、そこに至るまでの時間は人それぞれで、稽留流産から本の数時間で進行流産になる事もあれば、何日・何週間かかる事もあります。

実際問題、たとえ稽留流産を発症していても、進行流産に移行しない限り、出血や腹痛といった流産の兆候とも言える症状は殆ど出ません。それどころか、脳は赤ちゃんを育てているものと思い込んでいますから、それなりのホルモン分泌を続け、高温期やつわりが継続される事もしばしばです。

そのため、妊婦健診のエコー検査で心拍が確認出来ず、発覚する事が大半なのですが、厚生労働省は、妊娠初期の検診を4週間に1回でいいとしているではありませんか。実際には、妊娠12週目までが最も流産しやすいという事で、2週間に1回、中には10日に1回のペースで受診するように指示している医療機関もありますが、検診回数が増えれば増えるほど、時間もお金もかかります。

そこで、厚生労働省の指示通り、4週間に1度しか来院しない妊婦さんも多く、そうなると、検診直後や翌日に胎児が死亡した場合、それが明らかになるのは1ヶ月近くも先です。しかし、流石に、そこまで稽留流産の状態を維持し続けるのは至難の業で、結果、その間に進行流産に移行し、自然流産してしまうという訳です。

『稽留流産』の処置は? 選択肢は手術だけではありません

ならば、妊婦健診で稽留流産が分かった場合、どのような処置が執られるのでしょうか? 基本的に選択肢は2つ、進行流産に移行するのを待って自然流産に持ち込むか、それとも、手術で子宮内の胎児や胎盤といった内容物を取り出すか。

さらに、後者の「子宮内容物除去術」には、大きく分けて2つ、監視やキュレットと呼ばれる金属製の危惧を使って掻き出す「掻爬手術」と、電動式の真空吸引ポンプで吸い出す「吸引法」があります。どちらも子宮頸管に危惧を挿入して中身を取り出す施術ですから、「子宮頸管拡張術」と呼ばれる術前措置が必要になりますが、手術そのものは15分前後です。

因みに、安全性が高いのは吸引法だとされ、こちらはWHO「世界保健機構」も推奨する海外では定番中の定番子宮内容物除去術なのですが、日本ではまだまだ導入している医療機関は少なく、掻爬手術が主流であると言っていいでしょう。しかも、基本的に手術方法を患者自身が選択する事は難しいものと思われます。

ただ、手術を受けるか、自然流産にするかの選択については、ある程度まで可能な場合も少なくありません。実際、特に掻爬手術の場合、そのリスクを考えると、取り敢えずはしばらく様子を見て、進行流産に移行するのを待つという医師が大勢言います。なぜなら、進行流産が引き起こす自然流産は、正しく自然の原理に沿った措置方法だからです。

その一方で、進行流産に移行した場合、大量の出血がともない、母胎が危険にさらされるケースもあります。また、いつ流産するかが分からず、常に万全の体制で待機しておかなければならないという厄介な点もあって、家族も気が気ではないでしょう。何しろ、その多くは、最終的には自宅のトイレでという形になる訳ですが、ご主人や母親の助けを借りる人が大半なのです。

もちろん本人も、決して楽なものではありません。いくら自然の原理に従った形とは言え、自然流産には、想像を絶するほどの激痛と出血が伴います。

その代わりに、正しくおなかを痛めて我が子を産むという感覚は確たるもので、驚くほど堂々と前向きに赤ちゃんとお別れ出来たと言う人が圧倒的多数です。家族もまた、生命の神秘や尊さと正面から向き合える貴重な体験で、得るものは大きいでしょう。

とは言え、世の中には、そういう最悪の思いをしたくないという人もいます。その場合は、全身麻酔で行われる子宮内容物除去術を選択するのが賢明かも知れません。

掻爬手術にせよ、吸引法にせよ、本人が眠っている間に処理が終わり、目の前で見届けなくてもいい家族も心身の負担は少ないと言えそうです。きちんと日程を決められるので、予定が立てやすいという利点もあります。

また、仮に自然流産を希望しても、稽留流産の状態が長期間続くと、感染症のリスクが高まり、母胎が危なくなって来ます。そこで、見切りを付けて手術に移行される事も考えられるのです。

さらに、たとえ自然流産に持ち込めたとしても、子宮内の胎児とその付属物が全て綺麗に流れ出るとは限っていません。もちろん、何もかも出てしまう「完全流産」が最も望ましいのですが、現実には中々そううまく行かず、多くは一部が子宮内に残ってしまう「不全流産」となります。

そうなると、結局は子宮内容物除去術で処理しなければならなくなり、そんなこんなを考えると、最初から手術をした方が賢明だという方針のドクターも沢山います。これもまた、理にかなった見解でしょう。

『稽留流産』が与える妊活への影響

『稽留流産』の処置方法としては、自然流産か子宮内容物除去術の2つに1つで、正に一長一短です。それぞれにメリット・デメリットがあり、リスクもあって、どちらを選ぶかは、体調や家族、そして、主治医とも十分相談する事が大切でしょう。もし、つわりがつらいとか、仕事や家事をなるべく休みたくないというのであれば、手術で早期に完結させるのも一つの手です。

けれど、その一方で、進行流産に持ち込んだ方が、次なるステップには入りやすいという大きなメリットがあります。完全流産になれば、その後は自然に子宮が復興するのを待つだけで、特別な治療は一切必要ありません。

直後は抗生物質が出される事もありますが、後は完全なる経過観察で、再び生理が来れば、一安心と言ったところでしょう。心の整理も付きやすく、1年後には新米ママになっている人は大勢います。

それに対し、掻爬手術をすると、「アッシャーマン症候群」という新たな疾患のリスクがあるため、半年ほど妊活をお休みしなければならないのです。たかが半年、されど半年、特に高齢出産で時間との勝負という方には、この半年は決して短い期間とは言えないものと思われます。

アッシャーマン症候群とは、子宮内膜に細かな傷が付いたり、細胞層の一部が欠けてしまい、新しく形成される子宮内膜や妊娠時の胎盤が癒着しやすくなる状態です。前者の場合は、月経不順となり、明らかに排卵や着床が困難になると見られます。そこで、一旦子宮内膜を綺麗に剥奪させ、再生させてから妊活再開となるため、それまで待たなければならないのです。

後者については、新たな妊娠は比較的容易です。ただし、出産の際に癒着胎盤となり、大量出血などのリスクがともないます。

とは言え、癒着胎盤の確率は、子宮内膜の傷が完全に癒えてから妊娠する事で大幅に軽減出来るでしょう。ただ、やはりそれには時間が必要という事で、3ヶ月以上たってから妊活を再開する事が大切だとされています。

ですが、稽留流産したからと言って、決して子供を産めない体になる訳ではありません。もしそうなら、今ごろ日本は、もっと重度の少子化問題を抱えているはずです。

何しろ、100人のうち、10人以上の妊婦が稽留流産するのです。大事な事は、それを引きずらず、きちんとアフターケアをした後、再び夢を追い掛けるという事です。

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