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gift(配偶子卵管内移植)って一体何?対象疾患やメリット・デメリットなど

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gift(配偶子卵管内移植)って一体何?メリットやデメリットなど

不妊治療のオーソドックスな流れとしては、まずは極力自然に近いタイミング法を験し、人工授精を試み、それでも結果が出なければ体外授精が検討されます。そのため、人工授精までは「一般不妊治療」、体外授精は「高度不妊治療」と完全に区分されている訳ですが、実はその間にもう一つ、「配偶子卵管内移植(はいぐうしらんかんないいしょく)」という施術が存在する事をご存じでしょうか?

生命の誕生という神秘の世界に迫る不妊治療、知れば知るほど、その奥深さに感心させられずにはいられません。配偶子移植などは、その代表格だと言えるでしょう。

そこで今回は、スルーされがちな配偶子卵管内移植についてご紹介したいと思います。何故なら、難しいとは分かっていても、出来る限り自然に近い形で妊娠したいと思われる方には一つの選択肢となり得る方法だからです。

『配偶子卵管内移植』とは?

『配偶子卵管内移植』というのは、読んで字のごとく、配偶子を卵管内に移植する施術です。感覚としては、受精卵を子宮内に移植する体外授精に近いものがあるかも知れません。けれど、実際には、移植するのは配偶子、移植する場所は卵管という事で大きく異なります。

「配偶子」というのは、個体を作り出す細胞の事。英語で“Gamete”と言い、私たち人間の配偶子は男性の精子と女性の卵子という事になります。そこで、その卵子と精子を移植するのが配偶し卵管内移植です。

ただし、精子と卵子は女性の子宮内で出会って受精卵を作る訳ではありません。最初に彼らが出会い、受精卵を作るのは、卵管の中程にある拡張部「卵管膨大部(らんかんぼうだいぶ)」と呼ばれる場所です。

そして、その場で「胚」と呼ばれる受精卵を作り、その後に細胞分裂を繰り返しながら子宮へと進んで行きます。その間約5日、卵状だった胚は卵管内で桑の実のような形の「桑実胚(そうじつはい)」となり、やがて袋の中に赤ちゃんの本体となる細胞を入れた「胚盤胞(はいばんほう)」となって子宮に到着し、子宮内膜に無事に着床して妊娠成立です。

そこで、配偶子の移植も卵管膨大部で行われます。全身麻酔をし、腹腔鏡を入れて卵管内の様子を見ながら、事前に採取した卵子と精子の混合物を注入。その後に卵管膨大部で自然に受精し、細胞分裂を繰り返しながら子宮に向かい、胚盤胞に成長して子宮内膜に着床するのを待ちます。

配偶子卵管内移植のデメリット

配偶子卵管内移植は、配偶子「Gamate」を移植するところから、Gamate Intrafallopian Transferを略して“GIFT”と呼ばれます。ちょうど人工授精と体外授精の中間段階に当たる不妊治療ですが、男性は精子採取を受けるだけなので、一般不妊治療に該当する人工授精と何ら変わりません。

ただし、卵子と精子は体外授精と同じように、専用の容器で混合しますが、速ければ3時間ほどで精子が卵子の中に侵入し、受精が始まるため、それまでに移植しなければなりません。また、女性には全身麻酔や腹腔鏡を使用するところから、高度不妊治療に位置づけられています。

実際、採卵から移植まで数日の猶予があり、且つ、子宮に直接受精卵を入れる体外授精とは異なり、採卵五ほどなく卵管に精子と卵子を入れる訳です。しかも、腹腔鏡を使った本格的な施術で時間との勝負でもあるとなると、当然、リスクは大きくなります。

まず、この施術を受けるには、子宮だけでなく、卵管も正常である事が絶対条件となります。卵管首位の癒着や子宮内膜症については、予め治療する事で適用可能となりますが、事前の卵管造影検査で卵管閉鎖症などの卵管疾患が発覚した場合には選択出来ないのです。

さらに、全身麻酔と腹腔鏡が必要不可欠となりますから、麻酔医と腹腔鏡の技術者がいる医療機関でなければ実施出来ません。また、採卵の時に卵巣を強く刺激し、卵巣刺激症候群を発症してしまうと、腹腔鏡の使用や移植が困難になってしまうでしょう。

そして何より、実際に受精するかどうか? 受精したかどうかが全く分からないという大きなデメリットがあります。そこで、少しでも妊娠率を上げるには、複数の卵子を移植するのが望ましいのですが、そうなると今度は多胎妊娠となる可能性があって、流産や早産の危険性が高まるのです。

これらのデメリットを容易に克服出来るのが体外授精であって、それを考えると、人工授精の次は体外授精となるのも納得出来るところではあるでしょう。あえて手間のかかる賭けに打って出なくても、最初から体外授精にすれば、女性の肉体的負担は軽く、何より、確実に受精卵を移植出来ます。

ちなみに、体外授精では、採卵は部分麻酔で行われ、移植時には殆ど痛みを伴いませんから、麻酔は使用されません。そのため、全て日帰りで行われますが、GIFTになると入院が必要になります。

また、体外授精では、移植する受精卵は1個と決められているお陰で、多胎妊娠のリスクは極めて低いと見られます。しかも、受精卵の培養技術が進化した現代社会においては、より着床率の高い胚盤胞移植も増えつつあって、それと反比例するように配偶し卵管内移植は激減しているのです。

配偶子卵管内移植のメリット

ではでは、もはや配偶子卵管内移植には何のメリットも希望もないのでしょうか? いえいえ、決してそんな事はありません。

元々受精卵は卵管膨大部で出会った精子と卵子が自らの意思で作るものです。そして、先のように、子宮へと旅を続ける中で細胞分裂し、胚盤胞を形成して行きます。

つまり、配偶子卵管内移植は、比較的自然に近い形での妊娠を成立させられるのです。赤ちゃんにとっては安心感が大きいでしょう。

実際、胎児にとって母親のおなかの中の環境は特別なもので、個々の体質に適した体液が用意されると言われています。そのため、体外授精では良好な胚が作られず、ETと呼ばれる初期胚移植やBTと呼ばれる胚盤胞移植が出来なかった場合でも、GIFTによって見事胚盤胞まで成長し、着床し、妊娠するケースは少なくありません。

また、良好な初期胚や胚盤胞を何度か移植しても着床しなかったのに、配偶子から母親の胎内で胚を作って育てる事により、妊娠成立となるケースも多々あります。

さらに、卵子が成熟しても卵胞から飛び出す事の出来ない「黄体化非破裂卵胞」や「黄体化未破裂卵胞」と呼ばれる状況、あるいは、卵胞から飛び出した卵子を卵管がうまくキャッチ出来ない「ピックアップ障害」がある場合や卵管の先端の卵管采から卵子が精子との待ち合わせ場所の卵管膨大部まで移動出来ない「卵子停留」が見られる場合。そして、男性の精子が卵管内を上手に泳げない「卵管内輸送障害」を持っている場合などは、正常な場所で配偶子の正常な出会いさえ果たせれば、普通に受精し、胚を作る事が出来る訳です。となると、そうした疾患がある場合には、最も生理的に妊娠出来る有効的な方法という事になります。

ですので、元々は人工授精と体外授精の間に位置する施術ではありますが、体外授精の後に試してみる価値は十分あるのです。現実問題、体外授精の次のステップとなると、最後の砦とも言える顕微授精しかありません。その顕微授精に比べればはるかに自然で、胚にとって望ましい方法だと言えるでしょう。

ただ、GIFTを実施していない医療機関も多く、その場合には、病因やクリニックを変えなければならないという問題が出て来ます。けれど、医療機関や主治医が変わるだけでも自然に赤ちゃんが出来る事もあるというくらい、妊娠そのものがデリケートなものである事を考えると、それもまた、一つの成功のきっかけになるかも知れませんね。

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